➖最後の言葉集①➖ キリスト教の葬儀と信仰
聖書の「最後の言葉」から学べる事
信仰や価値観の本質が表れる
この世での最後の幕が下りようとする時、その人の信仰や人生観が最も純粋な形で表現されるようです。最後まで希望や愛を持ち続けることの大切さ、難しさが伝わります。聖書に記された実在する信仰者が、遺した最後の言葉、現代を生きる私たちにも大きな影響や学びを残します。信仰者の経験や最後の思いから学ぶことは、歴史や人生の知恵を受け継ぐ機会でもあります。特に聖書の信仰者の「最後の言葉」からは、信仰・希望・感謝・人生の知恵など、困難なときにこそ大切にしたい価値観を学ぶことができます。
歴史的リーダー(民族の指導者・王)
・モーセのこの世での最後の言葉
モーセがこの世で語った最後の言葉は、申命記33章に記されているイスラエル12部族への祝福のことばです。
「これは神の人モーセが、その死を前にして、イスラエル人を祝福した祝福のことばである」(申命記33章1節新改訳聖書)と始まり、各部族ごとに祝福を述べています。
また、申命記31章2節では「私は今日、百二十歳で、もう出入りができません」と自らの死期を民に告げています。しかし、実際の「最後の言葉」として聖書が明確に記録しているのは、やはり33章の祝福のことばです。
「主はあなたを助ける盾、あなたの勝利の剣。あなたの敵はあなたにへつらい、あなたは彼らの背を踏みつける。」 (申命記33章29節新改訳聖書)
この祝福を語った後、モーセはネボ山で神に導かれて死を迎えました。この聖句はモーセがイスラエルの民に語った祝福の言葉の一部です。神がイスラエルにとってどのような存在であるかを、二つの象徴的な表現を用いて示しています。
神は「盾」と「剣」
「盾」は、防御や守りの象徴です。神がイスラエルを守り、危険や敵から彼らを安全に保つ存在であることを表しています。どんな困難や攻撃にも、神ご自身が守りとなってくださるという約束です。
「剣」は、攻めや勝利の象徴です。神は単に守るだけでなく、イスラエルに勝利をもたらす力強い存在であることを示しています。神の助けによって、イスラエルは敵に打ち勝つことができるのです。
敵に対する勝利
「あなたの敵はあなたにへつらい、あなたは彼らの背を踏みつける」という部分は、神の導きによってイスラエルが敵に対して優位に立ち、最終的には勝利することを意味します。敵が自ら屈服し、イスラエルが圧倒的な勝利を収める様子を表しています。
信仰の励まし
この言葉は、神を信じて歩む者にとって、どんな困難や敵対があっても神が共におられる限り、守りと勝利が約束されていることを教えています。神の守りと導きが人生のあらゆる場面で働くことへの確信と希望を与えてくれる聖句です。
・ヨシュアのこの世での最後の言葉
ヨシュアのこの世での最後の言葉は、ヨシュア記24章でイスラエルの民に向けて語った遺言・告別のメッセージです。特に次の言葉が知られています。
「今、あなたがたは主を恐れ、誠実と真実をもって主に仕えなさい。…あなたがたの先祖たちが川の向こう、およびエジプトで仕えた神々を除き去り、主に仕えなさい。」(ヨシュア記24章14節新改訳聖書)
さらに、民が「主に仕えます」と誓った後、ヨシュアはこう言いました。
「あなたがたは主に仕えることはできないであろう。主は聖なる神であり、ねたむ神である。あなたがたのそむきも、罪も赦さないからである。」(ヨシュア記24章19節新改訳聖書)
これらが、ヨシュアのこの世での最後の言葉として記録されています。
この聖句は、イスラエルの民が約束の地カナンに定住した後、指導者ヨシュアが民に語った勧告の言葉です。ヨシュアは、民がこれからどのように生きるべきかを明確に示しています。
主を恐れ、誠実と真実をもって仕える
「主を恐れる」とは、
神に対する深い敬意と畏れの心を持つことです。単なる恐怖ではなく、神の偉大さや聖さを認め、へりくだる姿勢を意味します。
「誠実と真実」は、
表面的な信仰や口先だけの従順ではなく、心から神に向かい、偽りのない態度で仕えることを求めています。神との関係において、誠実さと正直さが重要であることを強調しています。
偶像を除き去る
ヨシュアは、イスラエルの民が過去に関わっていた異教の神々や、偶像を捨て去るように命じています。これは、神以外のものに心を向けることが、信仰の妨げになるためです。神に仕えるとは、他の神々や偶像に心を奪われず、唯一の主に集中して従うことを意味します。
選択を迫る呼びかけ
この言葉は、イスラエルの民が自分たちの信仰の在り方を自覚し、過去の偶像や古い習慣から離れ、神に従うかどうかを自ら選ぶよう促しています。信仰は強制されるものではなく、自分の意思で選び取るものだという強いメッセージです。
次週は
サムエル:最後の士師・預言者、王政導入のキーパーソン
ダビデ:イスラエル王国の理想的な王、メシアの系譜
を予定しています。こちらもぜひ御覧ください。
グレースセレモニーは、事前のご相談から、ご依頼主様と同じキリストを信じる者として、共に祈り準備を重ねて参ります。葬儀を通して、召された方の信仰の歩みから、参列者お一人お一人に福音を分かち合い、キリストを紹介する場として、召された方の思いを大切にしつつ、一都三県でのキリスト教葬儀を、最大限お手伝いさせて頂ければと願っております。
